ご挨拶/発達と教育を考える【リソース・ルーム 枝(えだ)】

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ご挨拶

10年ほど前に初めて出会ったAくんは、いま大学生です。アルバイトで何回か失敗しながらも、自分に合った仕事内容や人間関係を探り続けて、就職活動の時期を迎えています。Bくん・Cさんは、専門学校で、自分の好きなコースの技術を学んでいます。Dくん・Eさんは、高校を卒業して就職し、良い上司のサポートを受けながら、職場でのトラブルを乗り越えているようです。彼らは、『発達に関するアンバランスさに対しての理解と支援を考える専門機関』と継続的につながっていました。何かトラブルが起きて混乱したり不安になったりした時には、電話やメールですぐにSOSを発信できるので、早めの対応が可能で、気持ちの安定を取り戻していくことができます。

一方で、中学卒業まで特に継続した支援を受けていない人も大勢います。ここ数年、そのような高校生に出会うことが増えました。時には、大学を出て、就職後に困難さに気付き、その段階になって、やっと周囲に訴えたり周囲が気付いたりして苦しんでいる大人の方にお会いすることもあります。

そのような青年・成人のためのサポート機関は、10年前に比べれば多数存在し、青年期以降の人々を理解するための書籍も次々に出版されています。けれども私の出会った方々は、「どこに行って相談すれば良いのか分からない」或いは「行ってみたけれど、求めていたものと違っている」と思うことが多いようです。

乳幼児期から青年期までの長い間を、混乱した環境の中で過ごし、二次的な困難を示すようになった場合の対応は、難しいと言われています。けれども、当事者としては、何もせずに混乱したままでいるのは、とても辛いことです。何人もの高校生・青年・成人とお話しする中で、『状況を整理して、できることは何かを考え、できることからやっていくことで、混乱からぬけだすために動く』ことが必要であり、それは可能な場合も多いのではないかと思うようになりました。

とはいえ、それは一人や二人の支援者が居れば可能だというほど、簡単なものではありません。平成19年度から全国で本格的に始まった特別支援教育(神奈川では支援教育という)でも『チームによる支援』の必要性・重要性が言われています。教育・医療・福祉など、多くの分野の人々との連携によって可能になる場合が多いのです。

『リソース・ルーム枝』は、困難な状況にあるご本人・保護者とともに、医療機関や公的機関・民間の支援機関との連携の中で、ご本人の状況を整理し、可能性を探る努力をしていきたいと考えています。 

 

 

2009年10月1日

リソース・ルーム 枝   代表 伊藤逞子

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